Case Study
導⼊事例
防災・訓練

令和4年度ドローン運用アドバイザー育成研修

総務省消防庁 様

概 要

JDRONEでは、令和3年度に続いて令和4年度も総務省消防庁によるドローン運用アドバイザー育成研修を受託しました。福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールドで実施されたこの研修は、各都道府県消防本部において災害時のドローン運用における指導的立場となる隊員を対象とするもので、JDRONEは、研修プログラムの策定、現地での指導(座学と実技)、機材等の準備・運用、テキストおよびドローン運用ハンドブックの作成などを行いました。
本記事では本育成事業のご担当である、総務省消防庁の亀澤様にお話を伺いました。

写真左)総務省消防庁 亀澤様
背景‧課題
  • 操縦できる消防職員の不足
解決策
  • 都道府県単位で、指導できる高度な知識・技術をもった職員の育成
導⼊効果
  • 令和4年度4月1日現在、42都道府県に79人のアドバイザーを配置し、消防本部等へ派遣。

実施概要

【期間】
2022(令和4)年10月(4日間)
【場所】
福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市)
【目的】
・ドローンについて高い知識・技術を有する職員の育成
・災害時におけるドローンの安全かつ効果的な運用
【内容】
・座学(ドローン概要、関係法令、申請方法など)
・実技指導(NIST STM訓練、遠距離・エマージェンシー飛行、遭難者捜索訓練、構造物等飛行訓練、自動航行訓練、夜間飛行訓練)

研修内容

さまざまな環境を模した広大な試験場で研修を実施

福島イノベーション・コースト構想に基づいて作られた福島ロボットテストフィールド(RTF)は、ドローンを始めとするロボット等の性能評価や操縦訓練ができる大規模な施設で、住宅街、ビル、水中・水上、土砂災害、風洞、滑走路など、さまざまな使用環境が実物大で造成されています。

今回の「ドローン運用アドバイザー育成研修」では、関係法令や各種申請等に関する座学のほか、この施設をフルに活用して、以下のような実技訓練を実施しました。

・NIST STM※ に基づく基本操縦訓練
・目視外での飛行やアクシデント対応を学ぶ遠距離・エマージェンシー飛行訓練
・可視カメラと赤外線カメラを活用した遭難者捜索訓練
・高層建築物、市街地、水没家屋、橋梁下などでの災害を想定した捜索及び情報収集の訓練
・自動航行ソフトを使った操縦方法の習得、ルート選択や運用上の注意点の確認
・夜間における離発着、遭難者捜索、熱源捜索等の訓練

※NIST STM:アメリカ国立標準技術研究機関によるドローン及びその操縦者の評価手法

現場の生の声を取り入れながらカリキュラムを策定

総務省消防庁のご担当者である亀澤様にお話しを伺いました。

—— ドローン運用アドバイザーの育成研修は今年で4年目です。本年度の重点ポイントなどを教えて下さい。

育成研修の内容は、毎回研修後にアンケートを実施し、受講生からの現場の声を取り入れながら、受託会社と相談してカリキュラムを決めています。

今回のJDRONEさんは昨年も受託いただいていますが、今年度は新たに橋梁エリアを活用して、河川やダム貯水池などに人が転落したと想定し、上方から下方に向けてドローンを操作する飛行訓練を実施しました。

河川やダム貯水池といったエリアは実地訓練を重ねた消防隊員たちでも容易に近づくことができないエリアですので、ドローン活用が期待されているんですよ。

飛行訓練は「ドローンを橋の上から離陸させ橋の下をくぐらせる」という内容なのですが、元々ドローンはその機体の上昇に比べると下降には技術を要します。

加えて、ダムや橋といった巨大構造物の下側は操縦用の電波が届きにくい場合が多く、そうした状況でも安定して操縦できるようにJDRONEさんに指導いただいています。

会場となる福島ロボットテストフィールドは、消防庁が福島県等と協定を結び確保した会場でありますが、こちらの会場は家やビルなどを模した建物等があり、実践的な訓練を集中して行うことが出来る施設となっております。

受講者にはこういった施設を活用いただき、地形や風向きの変化など屋外ならではの環境を肌で感じながら、操縦技術を磨いていただきたいと思います。

—— 皆さん非常に熱心に取り組んでおられます。受講希望者は多いのですか?

はい。

現在、総務省消防庁としては、災害対応ドローンの活用を推進しており、2022年4月1日現在で全国の消防本部のうち約6割が何らかの形でドローンの導入/運用を開始しております。

2021年に発生した「熱海市土石流災害」では、実際にドローンが災害発生後の地形変化を撮影し、その撮影内容を災害発生前の状況と比較するなどして活動方針の決定などに活用しました。

このように消防の現場でもドローンを活用する機会が増えていることから、ドローンを安全で効果的に運用するための教育体制の構築が求められています。

こうした背景もあり、受講希望については、募集人数よりも多くの応募をいただいております。

とはいえ機材都合などで参加できる人数には限りがありますので、参加隊員の地域的な偏りが出ない様にするなどの配慮をしています。

—— 研修で学んだことを各々の消防本部に持ち帰り、そこでドローンの運用・活用ができる新しい人材を育てていただく流れですね。

そうです。

受講生には、知識・技術だけでなく、教育技法についても学んでいただき、研修終了後はドローン未導入本部や導入後間もない本部などに派遣され、助言や指導を行うこととしています。

—— JDRONEの指導内容や研修運営についてはいかがでしょうか。

委託業者の選定の際には、これまでにも消防本部の職員に対して十分な実技指導を実施した実績があることなどを条件としています。
消防に関わるトレーニングは、私たちの業務をよく理解していないと難しい部分がありますからね。

JDRONEさんは、そういった経験をお持ちでしたので、研修内容の相談をもちかけてもすぐにご理解いただけるので助かっています。

「人を救助する」という事に対し、様々な手法や案をJDRONEの皆さんにもご理解いただきつつ、現場の要望や手法を加味して訓練内容をJDRONEさんへ提案し策定していただいているのですが、提案を踏まえた訓練内容については、前回のアンケートでは「研修で得た知識が非常に参考になった」という回答を多数いただきました。

防災・災害対応向けのドローンソリューションを提供するJDRONEでは、実運用に即した各種講習・訓練を提案・開催しています。ドローンパイロットの育成から災害対応に必要な機能を機体に装備するカスタマイズまで、お気軽にご相談ください。

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