Case Study
導⼊事例
環境

世界初、プラントの異常をドローンの「鼻」で検知

概 要

ボールウェーブ株式会社様は、当社ドローン飛行サービスを活用してガスクロマトグラフを搭載したドローン飛行による、試験用プラントの煙突から放出されるガスの捕集・分析の実証試験を実施し、高感度な分析に成功されました。
この結果、ドローン搭載のガスクロマトグラフは、プラントの管理や防災保安業務への適用可能性があることを実証しました。

背景‧課題
  • 高所、高温プラント点検時の作業員の安全確保
  • プラントの頻繁な点検実施の必要性
  • 危険ガスや成分不明ガスの捕集、精度の高い分析
解決策
  • ガスクロマトグラフ搭載ドローンでのガス捕集
  • 危険な場所から離れた地点でのリアルタイム分析
導⼊効果
  • 作業員の安全を確保しガスを捕集
  • 放出ガスの高感度な分析の実現
  • リアルタイムでの状況把握

業務概要

【場所】
福島ロボットテストフィールド
【目的】
ドローンに搭載したガスクロマトグラフによるプラントの管理や防災保安業務への適用可能性の実証
【使用機体】
MATRICE300 RTK

業務内容

ボールウェーブ株式会社様は東北大学発技術シーズであるケミカルセンサ「ボールSAW センサ」を用いて、微量水分や多種類のガスを高速・高感度にセンシングすることで、安全・安心・クリーンで持続可能な社会の実現を目指す大学発のベンチャー企業です。
水晶球が持つ高温・高圧 耐性、高耐食性に加え、従来技術と比較して約 100 倍の高感度と高速応答性を備える「ボール SAW センサ」を搭載した微量水分計やガスクロマトグラフなどの開発・製造・販売を行っておられます。

各種プラントの安全稼働を維持するためには、頻繁にプラントの点検を実施し、プラントの破損を早期に発見することが重要です。プラントの煙突から放出されるガスを捕集し、高い感度で分析を行うことで、プラントの劣化や破損にいち早く気づくことができるためです。
しかしながら現在、一般的に普及しているガスクロマトグラフ(機体の分析手法であるガスクロマトグラフィーを行う装置)は重量があり、また稼働中プラントの煙突は高所かつ高温であるため、プラント内のガスを採取し、採取したガスを専門機関へ持ち込み分析することが一般的な手法です。
このため、これまでは放出ガスの高感度な分析をリアルタイムはもちろん、頻繁に行うことすら困難でした。
こうした課題を受け、ボールウェーブ株式会社様では頻繁な点検実施によるプラントの安全稼働の実現に向けて、ドローンに搭載可能なわずか1.2kgの重量の超小型ガスクロマトグラフを開発。ガスサンプリングの防災保安業務への適用可能性実証のため、当社のドローン運用サービスを活用した本実験を行われました。

装置の工夫

ボールウェーブ株式会社様は、ドローンのプロペラが発生させる強い気流によって捕集するガスが乱されないように、ガスクロマトグラフには長さ3mのCFRP(炭素繊維複合樹脂)管で作製したサンプリング機構を接続されました。
また、プラント管理では短時間での分析が必要なため、ガスを分離する部品である金属ソレノイドカラムの長さを通常の30mから10mに変更し、分析時間の短縮を目指されました。

短時間で高感度な分析に成功

ボールウェーブ株式会社様は、イノベ機構 RTFの試験用プラントにおいて、この装置のプラント管理への適用性を検証されました。
煙突から放出される試験用ガスを30秒間捕集。ドローン搭載のガスクロマトグラフでガス捕集時間を含めて「3分」という短時間で分析がなされました。
分析結果は、Bluetoothで接続した地上のパソコンで確認することができます。

別途、行われたセンサの校正によると、捕集中のノナンの平均濃度は17ppmv(100万分の17)と検出信号のノイズが小さく、加えてドローン飛行中という局所的なガスの捕集という難しい条件下で、検出下限1 ppmv以下という高感度な分析ができたと判断されました。

これには、「サンプリング機構を煙突先端に安定して保持できた効果も寄与している」と、当社のドローンの高精度な制御についての高い評価もいただきました。


JDRONEは今後もドローンを活用した環境調査を支援いたします。

※「世界初」とは東北大学調べによるものです。

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