Case Study
導⼊事例
防災・訓練

消防庁ドローン運用アドバイザー養成講習

概 要

総務省消防庁が進める「災害対応無人航空機運用推進事業」の取り組みの一環で、福島ロボットフィールドにて各都道府県のドローン運航に指導的な立場にある消防職員を対象とした集合教育を「ドローン運用アドバイザー育成講習」を実施しました。

背景‧課題
  • 総務省消防庁による全国の消防本部へのドローンの導入を推進
  • ドローン導入後のパイロット育成に課題
  • 災害現場での活用法の模索、実用に向けた訓練環境がない
解決策
  • 防災ドローンの機能を熟知したインストラクターによる講習
  • リーダー向け集合講習の実施
  • 災害現場を模した施設での昼夜訓練
導⼊効果
  • 有益なドローン活用知識・技術の習得
  • ドローン飛行レクチャー方法の習得
  • 実環境で求められる飛行技能の習得

業務概要

【期間】
2021年11月(2日間)
【場所】
福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市)
【目的】
消防本部でのドローン運用を促進させるための運用アドバイザーの育成
【使用機体】
・DJI PHANTOM4シリーズ
・MAVIC 2シリーズ
・MAVIC 2 ENTERPRISE DUAL
・MATRICE 300 RTK
【内容】
① 法規・申請方法、ドローン概論の座学
② 実践に見立てた実技講習

講習の背景

消防分野では、災害現場の実態調査や捜索活動において、ドローンの有用性を発揮した実績があり、令和4年度から防水等級3以上・動画撮影機能を有する災害対応ドローンを消防本部が調達する費用について、緊急防災・減災事業債の対象とするなど、消防分野でのドローン導入が積極的に推進されています。

しかし、ドローンを導入する消防本部が全国の消防本部の約半数に差し迫る一方で、運用面や人材育成が各消防本部の課題となっています。

2021年10月に福島ロボットテストフィールドで開催された「ドローン運用アドバイザー育成研修」ではJDRONEが研修講師を実施、全国から選ばれた消防本部約20箇所の消防士が参加し、ドローンの運用を目的に訓練を受講しました。受講した消防士は各消防本部で講習内容を展開し、アドバイザーとして人材育成を担う仕組みとなっています。

福島ロボットフィールドとは

福島県南相馬市にある復興工業団地内に整備されたロボット試験施設です。
橋梁やトンネル、建築物や災害現場など現場環境を再現している世界でも類を見ない施設です。

講習内容

座学

航空法に始まり各種法規について復習を兼ねた学習と、DIPS/FISSの申請、またドローンの機体構造・概要を実運用でのヒヤリハット事例を紹介しました。

NIST/ATTI

アメリカ国立標準技術研究所がドローンの性能を図るために提唱しているものです。

それを転用して、パイロットの飛行の精度や速さを測るものとして消防でも注目されているNIST STM for sUASを項目の一つとして今回導入しました。

機体とカメラを交互に見つつカメラ操作も行うという、実践に近しい操作を行い、自分の技術を測られることが特徴です。

ATTIでは日ごろ訓練する機会が多く取れないとのことで導入。

ドローン本来の姿を経験していただく事により、不測の事態に備えた技術・心構えや、パイロットとしての技術の底上げを図りました。

構造物飛行

構造物内の熱源を探索・発見することを目的として運用したメニューです。

実際、構造物付近を飛行する際には遠近感の把握が難しく、また建物によって風の影響も複雑に作用するため、パイロットだけではなく、補助者としての動きもここで学んでいただけるようにしました。

遠距離/高高度(目視外)飛行

訓練できる機会が少ない、遠距離・高高度飛行の訓練をいたしました。

山火事などの広範囲での情報収集を想定した訓練です。撮影するポイントや機体が見えない中での操縦方法、電波途絶や映像伝送との関係性、トラブル回避の方法などを解説し、高高度かつ目視外飛行の運用を実際に行いました。

自動航行

消防現場で運用する際、ほとんどの飛行を手動でされているとのことでした。

自動航行アプリを用いて現場の3Dモデリングを作成する飛行を体験していただき、その現場の成果物を見せることにより、自動航行の実用性の高さや、運用のしやすさを理解していただきました。

市街地捜索訓練

実際の捜索を模して市街地フィールドを使い、捜索訓練をいたしました。

市街地になると、Wi-Fiの電波や建物による電波障害で電波環境は悪くなります。

それらを考慮して、飛行計画や捜索の方法を考えるということや、実際に飛行する上でのリスクを学んでいただきました。

夜間飛行訓練

夜間操作を模した訓練を行いました。

昼間の飛行とは異なり、ドローンの灯火のみで状況判断するため、赤外線カメラの映像を頼りに捜索活動を行う夜間飛行訓練を実施しました。


JDRONEでは、実運用に即した各種講習をご提案、開催しております。
今後も防災分野においても、ドローンを適切に活用できる技術者の育成を支援して参ります。

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