Case Study
導⼊事例
森林・林業

UAVを使用したレーザ測量による森林現況調査

概 要

UAV(※)レーザ測量による、「森林現況解析」「樹種判別」「森林地形解析」の事例です。
対象区域の森林情報を取得するために、UAVを用いてLiDAR及びデジタルカメラ計測を行いました。
計測だけでなく、取得したデータの解析から森林整備に必要なデータを作成、その提供を行いました。

※UAV:Unmanned Aerial Vehicle(無人航空機)の略

背景‧課題
  • 広大な森林区域の現状把握
  • 有人航空機測量からUAV測量への移行集
  • 安全を確保し、効率的な測量の実施
解決策
  • UAVにLiDARを搭載し広域測量を実施
  • 安全な場所からのUAV自動飛行
  • 点群データや写真データを短時間で取得
導⼊効果
  • 広域測量で得たデータを基に、森林整備の実施
  • haあたりの費用削減
  • 取得データをリアルタイムに確認する事で、作業効率の向上

業務概要

【場所】
日本国内(約492ha)
【期間】
計測測量:約3ヶ月(2班体制)
解析:約4ヶ月
【目的】
UAVを用いて森林資源データを取得し、地形解析及び現況解析を実施。
解析データを基に、路網整備・森林整備の実施を行う。
【使用機体】
・MATRICE300 RTK & ZENMUSE L1
・MATRICE350 RTK & ZENMUSE L1
【内容】
① UAVの飛行計画の作成
② 計測空域においてレーザ計測及びデジタルカメラ撮影
③ 計測データを基に、下記内容のデータ解析
【微地形表現図・傾斜区分図・細班区画修正・単木位置ポイント・オルソ画像・空中写真画像】

業務内容

本業務はJDRONEの親会社であるトーテックアメニティ株式会社が受注したもので、JDRONEはトーテックアメニティからの一部業務委託により参画しました。

日本の国土面積の約66%は森林であり、世界平均の31%と比較すると非常に高い森林率であることは明白です。これは先人たちが森林を守り育ててきた結果でもあり、誇るべき数字でもあります。
森林には多目的な機能があり、その機能を十分に発揮するためには間伐や主伐後の再造林といった森林整備が必須となります。

森林整備を行うためには、現場に赴き、現況調査を行い、現況解析が必要です。
これまでは有人航空機を使用した航空測量や人力による調査が大半を占めていましたが、UAVの発展とともにUAV測量が注目されています。

今回は全国に点在する森林(約492ha)を対象に、森林整備を目的とした現況調査業務を、UAVを使用して実施しました。
期間は約3ヶ月を目途に、2班体制で実施。
使用機体はMATRICE300 RTK / MATRICE350 RTKにZENMUSE L1(LiDAR)を搭載し、点群計測と写真計測を行いました。

◆UAV測量の利点

UAV測量の利点は、使用機器がコンパクトであるため、機動性に優れていることです。
車1台で現場に赴き、離着陸ポイント選定からフライトプラン作成までを現場で行えるため、臨機応変な作業が可能です。
また計測したデータは当日中に解析し、その結果を基に、翌日以降のフライトプランが作成できますので、効率よく現場作業を行えます。
他にも、UAV測量は安全な場所に作業員は待機し、そこからUAVを飛行させ対象地区の上空から作業を行います。
測量対象地区まで距離があるために険しい山に分け入るといった活動は不要なため、作業員の安全確保も容易です。

◆計測飛行

測量方法は、自動航行を使用します。
飛行範囲は事前取得のデータ等を基に送信機で設定し、飛行ルートは自動で生成されます。
現場の地形や電波の通信状況を加味して、飛行の開始地点や人員配置等を決定します。

UAVは約90m上空を飛行して測量を行います。
森林でのUAV測量は、地形や植栽状況によってUAVと送信機の通信が途切れることがあるため、
JDRONEでは2つの送信機を使用して2オペレーター体制で運用しています。
また3人目の作業者が飛行空域の監視や操縦者のフォローを行っています。
こうして最小限の人員で業務を行うため、一般的な測量における人件費の削減も可能です。

今回使用したUAVは、地形追従飛行が可能です。
飛行高度を設定すればUAV自体が地形に合わせて高度を変えて飛行するため、地形の変化を気にすることなく一定のデータが取得できます。
また、このUAVには6方向障害物検知機能も搭載されています。
UAVの離着陸時や自動航行中に、障害物が接近した場合はUAVから警告音が鳴ったりブレーキが発動したりするため、事故率の低減につながります。
JDRONEでは2年続けて森林測量業務を担当していますが、無事故で業務を完了しています。

フライトプラン
可視画像と点群画像

◆取得データ

本業務で取得したデータについて、下記内容のデータ解析を行いました。

・単木位置ポイントデータ
点群データやオルソ画像データを基に、樹頂点を抽出。
ポイントデータに樹高値が自動的に付与され、材積の算出が可能に。

単木位置ポイント

・微地形表現図
デジタルオルソ画像では作業道が木で隠れて判別が困難であるため、微地形表現図を基に作業道の判別を実施。 尾根や谷、地表面の凹凸など、形状がわかりやすい図形表示が可能に。

微地形表現図

・傾斜区分図
傾斜に合わせて色分けし、森林整備の参考資料として使用。
任意の場所の傾斜を読み取ることが可能に。

傾斜区分図

・デジタルオルソ画像と細班区画
取得した複数枚のデジタル写真を基に、オルソ画像を作成。
樹種、面積、識別番号等も同時解析。
オルソ画像には複数の樹種が表示されるため、樹種毎に区画整理を実施。

下図:スギ(赤)とヒノキ(緑)の区画整理図

デジタルオルソ画像
細班区画

・DEM(数値標高モデル)
森林整備の参考資料として使用。
レーザ計測で取得したデータから樹木などを取り除き、地表面の標高を表示。

DEM画像

JDRONEでは2度に亘る森林現況調査業務を担当しました。
自然相手の業務ということで、天候や害獣、虫などに悩まされることもありましたが、事故等を起こすことなく無事に業務を完遂することが出来ました。
納品データについても、過去にお客様が航空測量や人力による調査で得ていた基準をクリアし、UAV測量そのものにも、ご評価をいただくことが出来ました。
JDRONEでは本業務で得た知見を、多くのお客様に提供できるよう取り組んでまいります。


今後もJDRONEはカーボンニュートラル実現のために、ドローンを活用した森林資源調査を支援いたします。

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