産学連携で取り組んでいる「害虫の駆除活動」についてご紹介します

    アリモドキゾウムシ(喜界島)

「アリモドキゾウムシ」は主に南西諸島や小笠原諸島に分布している昆虫で、さつまいもなどに寄生して被害を及ぼす昆虫です。皆さんの中には、沖縄に旅行に行った際にサツマイモをお土産にしようとしたら、持ち出せなかった..などの経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。植物防疫の観点からこの地域からサツマイモを持ち出すことは制限されているのです。近年では九州や四国でもこの虫の発生報告があり、本土地域での繁殖が懸念されています。法政大学 と鹿児島県は連携してこの害虫による被害を食い止めるべく研究と活動を行なっており、弊社は2016年からドローンの運用を通してこの活動に参加しています。今日はその活動の一部を紹介します。

喜界島は「鹿児島県大島郡喜界町」が所在名で、奄美大島の東に位置する離島です。鹿児島からは飛行機で1時間15分、奄美大島から約20分で行くことができます。周囲は48.6キロメートルで、50万年から1000万年で隆起を繰り返し、現在の喜界島の原形ができたといわれています。そのような経緯からこの島の地面はその殆どがサンゴ礁でできています。島の特産物は、何と言っても「ごま」でしょうか。日本市場の99%を輸入に頼るなか、喜界島は日本一の生産量を誇ります。またサンゴ礁の土壌に適しているサトーキビの栽培が盛んで、これを使った黒糖や焼酎などの特産物があります。個人的には喜界島の「そら豆茶」がオススメです。

さて、そろそろ本題にはいりたいと思います。まず、アリモドキゾウムシの駆除方法について説明します。

アリモドキゾウムシは芋科の植物に寄生する習性を持っています。したがってもしサツマイモなどに寄生すると大きな被害をもたらす可能性がある訳です。実は皆さんもよく知っている「アサガオ」は芋科に属する植物で、喜界島にはノアサガオ(リュウキュウアサガオ)という種類が生息しています。そして喜界島のアリモドキゾウムシは、この「ノアサガオ」に寄生して繁殖を繰り返すことが判っています。

ではどうやって駆除するのかですが「不妊虫放飼法」という方法を使います。まずアリモドキゾウムシのオスを施設で大量増殖し、放射線を使って不妊化します。そのアリモドキゾウムシを対象地域に継続的に放飼し、彼らの正常な繁殖を妨げるという方法です。これを数年にわたり継続することで種の絶滅を促すのです。

ここで、いくつかの課題があります。一つ目は深い森や急な丘陵地帯が多いこの島で、どうやって不妊虫の放飼を行うか、そして二つ目はそれにかかる費用の問題です。これまでは、有人機(ヘリコプター)を使って放飼を行なっていました。しかし有人機は低く飛ぶことができないので広域に放飼しなければならず、大量の不妊虫が必要になりました。加えて有人機そのものにかかる費用が高価なので、多くの予算を必要としたのです。代わりに産業用ラジコンヘリコプターでの放飼を試みたのですが、顕著な費用圧縮には繋がらなかったという経緯があるとのことでした。

そこで「ドローン」に白羽の矢が立ったというわけです。では次にドローンを活用することで、これまでの課題をどのように解決するのかを説明します。

Inspier2 + X7

ノアサガオ生息域のマッピング

生息するノアサガオ

まず、以下2点について課題解決を行います。
1、不妊虫を効率よく使用する
→ ピンポイントでノアサガオに放飼する
2、放飼作業そのものにかかる費用を抑えること
→ ドローンによる自動運転で放飼する

そしてこれを実現する手順は以下の通りです
1、ドローンを使って、上空から島の写真を撮る
2、AIを使ってノアサガオを特定する
3、ノアサガオがある座標値をマッピングする
4、ドローンの自動運転プログラムを作成
5、自動プログラムでドローンを飛ばし不妊虫を放飼する

この一連の作業をルーチン化して作業効率を上げれば、抱えている課題を解決できるのではないかという考えの元に検証を行なっています。

左の写真は、2018年のもので、機体にInspier2 カメラはX7を使用してモニタリングした画像をオルソ化して地図データに貼り付けたものです。エリア内のノアサガオを特定しやすいように、できるだけ解像度の高い写真を撮ることに注意を払い撮影を行いました。この写真に対してAIを使用してノアサガオを特定するのが法政大学の皆さんです。ノアサガオの特定確率は年々上がっており、努力の成果が確実に現れてきました。

飛行エリアは、鹿児島県支庁の皆さんのアドバイスでノアサガオの生息確率が高いところを狙って飛行しました。この年は、島の10箇所あまりを飛行してそれぞれのオルソ画像が完成しています。

急な丘陵地帯のサーベイは難易度が高い

実は、今年(2020年)8月にまた喜界島を訪れて検証の続きを行うことになりました。そのような背景もあり、この取り組みを紹介させてもらいました。今年は、航空写真測量用の機体としてPHANTOM4RTK と PHANTOM4M を使用する計画です。このミッションはノアサガオを特定しなくてはならないため、変化の激しい地形であっても比較的低空飛行をしなければなりません。このような条件のなかRTK機能を活用し狙った座標&高度を正確に飛行することができるこの二機種は大変有効です。そして、これはまだ確定ではありませんが、Matrice300にペイロードを装着して放飼飛行ができるかも知れません。(ペイロードの開発がまにあうか….)

結果は秋ごろにレポートいたします。ぜひご期待ください。

今年喜界島で使用する予定の機体

PHANTOM4 RTK

   PHANTOM4 RTK

P4 Multispectral

PHANTOM4 Multispectral

m300

Matrice 300